おばあちゃんの手




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何気ない会話のなかに、何年たっても記憶に残るいいお話というものがあります。以前、職場で一緒に働いていたユキちゃんの話がそうでした。

休憩中、わたしの携帯ケースを見て、「和のものが好きなの?」と、ユキちゃん。
その頃使っていた携帯ケースというのが、帆布と唐獅子の布地を合わせて作ったオリジナルだったので、着物が好きで帯や和小物を作っている話もついでにしました。

そこから、ユキちゃんのおばあちゃんの話になったんですけど、ユキちゃんのおばあちゃんは、生前、有松絞りのくくり職人さんだったそうです。
何十年と続けてきたくくり職人の仕事、糸をくくる動作は身体が一番覚えていたのでしょうね。家族への記憶もだんだん遠のいていくような中でも、おばあちゃんの「手」だけは、いつも動いていたんですって。

おばあちゃんの手

有松の絞りの技法は百数十種以上もあるのですが、「1人1技法」とよばれ、1人がひとつの技法をずっと守っていくそうです。

最期まで立派な職人さんだったおばあちゃん。

おばあちゃんは、病院のベッドの上で、どの技法で一粒一粒布を糸でくくっていたのかしら。
こんどユキちゃんに会ったら聞いてみよう。夏に絞りの浴衣を着る時、家事の合間に自分の手を見つめる時、ふと、ユキちゃんから聞いたいいお話を思い出すのです。




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