北原白秋の美しい詩の世界をARS社の贅沢な装丁本でたのしむ




スポンサーリンク

昨年の誕生日に、子供から古い本をもらいました。
いかにも古い本らしくちょっと大袈裟な外箱に入れられ、装丁もとても凝っています。古い本、装丁好きのわたしには、またたく間にお気に入りの本になってしまったんですけれど、もらった本は北原白秋全集。北原白秋といえば詩人であり、また「からたちの花」「ペチカ」「ゆりかごのうた」など数多くの童謡を作ってきましたよね。この本には、白秋が作った童謡の歌詞がいくつも集められているのですが、こうしてふたたび北原白秋の歌詩集を目にするのは、もしかしたら「からたちの花」を唄った音楽の時間以来かもしれません。

この素敵な装丁本の出版は「ARS社」というところ。まったく聞いたことがないのですが、実は北原白秋の弟、北原鉄男が創設した出版社なんですって。ARS社はおもに写真や文学系の出版をやっていたそうですが、白秋には鉄男の他にも兄弟いて、他の兄弟達もそれぞれ出版社を創っているんです。北原義雄は美術系の「アトリエ社」北原正男は写真系の「玄光社」を創業。
藝術家揃いの北原ブラザーズ!これにはびっくりしましたが、「アトリエ社」や「玄光社」の出版物もいつか手にとってみたいものですね。もしかしたら、北原兄弟の美に対するルーツの謎解きが、できるかもしれませんもの。

そんなわけで、北原白秋の歌集のほとんどが「ARS社」から出版されていて、縁あってわたしの手元にやってきてくれてのですが、あらためて白秋の歌詩をみてみると、ほんとうに美しくてやさしい。わずかな短い歌詞なのに、そこには日本の原風景が広がっていて、四季折々の風景や草花、虫や魚、小鳥や動物たちが、表情豊かに登場します。
それは、誰もがどこかに持っている、心象風景と重なる世界なんじゃないかな。

北原白秋の美しい詩の世界をARS社の贅沢な装丁本でたのしむ

もらった歌詩集には、100曲以上の歌詞が集められています。知っている曲は懐かしくて思わずメロディーを口ずさんでしまいますが、知らない曲のがほとんどで、北原白秋は生涯どれだけの曲に詩をつけたのだろうと思いました。
そんな数多い曲の中で、わたしは「この道」という曲ととても好きです。名コンビとも言える山田耕筰の曲に白秋が詩をつけているのですが、歌詞には、アカシアの花が出てきます。わたしはこの曲でアカシアの花を知り、そして大好きな花になりました。自宅の庭に樹木を植える時は、いちばんにアカシアの木を植えたくらいなんですよ。
そう思うと、子供の頃に歌った唄、聴いた曲の影響って実に大きいのですね。

「ARS社」は、白秋の歌集の他に、児童文学書も多く出版していました。「日本児童文庫」シリーズでは、冒険ものから西洋の歴史まで紹介されています。おもしろかったのが、昭和初期の出版なので、一文字改行。だから「ナポレオン」は「ンオレポナ」、「マリー・アントワネット」は「トッネアトンア・ーリマ」と挿絵に書かれている。慣れるまで、挿絵の人物が誰だかわかりませんでしたけど、これも古い本ならではですよね。

美しい日本語。美しい本。白秋の歌詞、ARS社の児童文庫シリーズは、子供相手だからといって一切手をぬいていないところがすばらしい。思えば、紙芝居でも絵本でも、子供向け番組やアニメだって、昔はそうだったような気がします。だからいつまでも心に残っていく。
子供だからこそ「本物」を伝えたいという想いや愛情がそこここに伝わるような、「極上の贅沢さ」を今の子供たちにも贈ってあげたいですね。

五感に染みわたる北原白秋。時代が変わっても、子供たちの成長にとても大切な栄養素なんだな、と確信しました。




スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする